皆さんこんにちは。中小企業診断士の專田政樹です。

さてサッカー日本代表の活躍を基に、ダイバーシティマネジメント(多様な人材が所属している状態)をインクルージョン(組織として一体的、且つ有機的に活動)まで高める成功事例を考えるシリーズの3回目となります。

今回は引き続き、ロシアW杯アジア予選初戦のシンガポール戦がテーマです。
ご覧になられていない方の為にVOL.1のリンクを貼っておきます。
こちらには試合のハイライト動画をはっつけてあります。
サッカー日本代表をダイバーシティマネジメント視点で考えるVOL.1 ハリルジャパン ロシアW杯予選初戦 日本代表VSシンガポール戦

という事で今回取り上げる記事は日本経済新聞WEB版で掲載されたこちらです。

勝利のメンタリティー(山本昌邦) サッカー日本代表よ、どっち見て戦っているのか

■ポイント①:誰と勝負していたか?~以下抜粋

対する日本は、本田(ACミラン)や香川(ドルトムント)ら、5日後に控えたシンガポール戦を見据えたメンバーを先発させた。彼らはイラク戦で手抜きを一切しなかった。ロシアに向けた船出の試合で先発のピッチに立ちたいという強い思いがあったのだろう。監督に課されたテストで満点解答を狙ったかのように、本来ならシンガポール戦に取っておかなければならないエネルギーまでイラク戦で爆発させた感じだった。それとほぼ同じメンバーでシンガポール戦を戦い、海外組には長いシーズンを終えたばかりの疲労もあって、ピーキングを誤った感じの試合になった。

選手がイラク戦で張り切りすぎたのは、そこでエネルギーをある程度使っても、シンガポールには勝てるという読みがあったからだろう。その甘い読みが、イラク戦で消費した精神的なエネルギーの回復を遅らせたようにも思う。この辺のさじ加減はチームを預かる監督やコーチの仕事であり、コンディショニング方面を担当するスタッフの意見にしっかり耳を傾ける気持ちがあれば、防げたはずである。

★ざっくりいうと
前回の記事(→リンク:サッカー日本代表を、ダイバーシティマネジメント視点で考える Vol.2)でも上がったコンディショニングの失敗である。チーム内競争と、監督からの評価を勝ち取る事にエネルギーを使い、肝心な本番でガス欠になっていたという話である。ここまで復数の人から同様の指摘があがっている。日本人(代表選手)の性格にあった管理方法、コンディショニングを早期に確立する必要がある。初戦の重要性や難しさは意識されていたはずだが、どこかで勝ちが当然の結果で勝ち方に論点を置いていたのではないだろうか…

■ポイント②:選手と監督のコミュニケーション~以下抜粋(①~③の間には別の文章あり)


ハリルホジッチ監督が選手に語って聞かせた「私がイメージする勝ち方」の総量に比べたら、選手からの「アジア相手にはこういうことが起こる」という話に耳を傾けた量はほとんどなかったせいだろう。
「世界はこうだけど、アジアはこうだ」という話ができる経験豊富な選手は今の代表にはいくらでもいるのだから、そういう話をもっと真剣に聞いて、選手の自主性もうまく引き出す導き方をしていれば、あそこまで監督のやり方に選手が縛られることはなかっただろう。


2次予選の次の相手、カンボジアについてはしっかり情報を持っているのか。そういう謙虚さがないと、この後も日本は足をすくわれるのではないかと本当に心配になる。シンガポール戦で浮き彫りになったのは、ブラジル大会で「自分たちのサッカー」に固執して敗れた反省から再出発したチームが、スタイルこそ違え、相も変わらず「自分たちのサッカー」にこだわって自滅した姿だった。相手の弱点は何だったのか。研究しろよ、突けよ、と試合を見ながら何度も心の中で叫んだほど。引かれたらセットプレー、ドリブルで突っかけろ、と相場は決まっているが、例えば、宇佐美(G大阪)は強く仕掛けてペナルティーエリア内でファウルを誘う気もなかった。


自身の勝利イメージを強烈にプッシュするハリルホジッチ監督は、私が一緒に仕事をしたトルシエ氏(02年日韓大会日本代表監督)と雰囲気が似ている。トルシエ氏と当時の大黒柱だったヒデ(中田英寿氏)はいろんな局面で衝突したが、今はそんな選手はいそうにない。

私は、選手に、監督との対立や摩擦を奨励する気はない。が、一つだけ、監督にいいところを見せるより、自分に自信を持ってプレーする方が大事だということは強調しておきたい。先に述べた遠藤のような自分の特長を生かしたプレーである。シンガポール戦は監督も選手も、シンガポールのことを見ないで、自分たちがイメージする世界基準に沿って試合をしただけのように見えた。シンガポールを見てではなく、ハリルホジッチ監督を見て戦っているような印象である。

監督の言葉を重く受け止めすぎることの弊害は、実際のピッチ上での瞬間、瞬間の現場での駆け引きに選手の個性が出なくなるという形で表れる。本来なら、もっと余裕を持って、相手をおちょくるくらいのことができる選手までが生硬なプレーを繰り返すばかりになって正面衝突を繰り返すことになる。

★ざっくりいうと
話は推測である事も否めないが、おおきな印象としては皆がこうおもっているはずだ。
一方で監督からでているメッセージはそうでもない。戦術、フォーメーションは相手にあわせて柔軟に…といった方向性であった。が、蓋を開けるとこういう結果になったという事だ。自分自身、イラク戦では新しい日本代表のサッカーはとてもいい感じに変化したと感じた。そうまるで「自分達のサッカー」の呪縛から解き放たれたかのような気分だった。だが、シンガポール戦で見え隠れしたのは、ハリル監督の指し示す一部分でしかない、「縦に早いサッカー」を新たに「自分たちのサッカー」に塗り替えたのか?とう事だ。そこには監督のいう、相手の状況に合せて勝利の為に戦うというコンセプトの浸透までは至っていない。就任冒頭より、監督からの発言にある事を踏まえると、まだ「成熟していない」だけだと考えたい。早く成熟度を高めるためには「対話:コミュニケーション」を深めていくことが重要だという事だ。バーナードのいう組織の3要素、「共通目的」「貢献意欲」は揃っている組織だから、後は3つめの「コミュニケーション」が深まれば勝てるチームへの変貌は早いはずだ。

■ポイント③:具体的な戦術面での工夫~以下抜粋

ハリルホジッチ監督は後半、引いたシンガポールを崩すのにサイド攻撃を多用した。しかし、あの程度のサイド攻撃では、シンガポールが相手ならシュートまで持っていけたけれど、韓国やオーストラリア、イランあたりが相手だと、シュートにもならなかっただろう。
簡単にいえば、クロスの位置が遠すぎるのである。日本のFWで韓国やオーストラリアのDFと競り勝って、あんな遠い位置からのクロスを頭でたたきこめる選手など、皆無に近い。いい時の豊田(鳥栖)くらいだろう。その豊田はベンチにもいなかった。
どうせサイドを崩すなら、もっと工夫としつこさが必要だった。同じサイドでもタッチラインに沿ってではなく、ペナルティーエリアの縦のラインに向かって崩しの作業が入っていかないと日本の場合、ゴールは奪えない。ペナルティーエリア内からのクロスを可能にするにはバイタルエリアに縦パスを入れ、それをワンタッチでさばいて3人目の動きを絡めることを繰り返せば可能だったはず。そこまでの連動性が今回の日本にはなかった。

★ざっくりいうと
サッカーの戦術上の点のとりかたの話である。ハリル監督は後半、斜めのパス出しを選手たちに要求したといい、動画を見てもわかるが、それによって得点チャンスも作っている。しかし最終的にゴールには結びついていない。それに対する山本氏の意見がペナルティーエリアに縦ラインに向かっての仕掛けというわけである。この位置から復数の人数のパス交換による得点はザック時代にもいくつも積み重ねられていて、実に日本人好みのゴールだ。逆にいうと、山本氏の言うように、サイドから大きくひらいて精度の高いクロスから、ヘッドでどかーんというゴールは少ない。むしろ中澤や吉田麻也らDF陣のコーナーキックのヘッドのほうが印象深い。また試合終了間際のDFのヘッドによるもの、というのが正直なところ。サイドからの攻撃では長友などからのスピードを重視したクロスは決まっているイメ-ジだ。遅攻からのサイドへの開きと、大きなセンタリングでは防がれてしまうケースが多いのは実際にところだろう。

さて、これを経営におきかえるとどうなるか?
要は経営層や幹部層が、ビジョンを示したあと、具体的にどうしなければならないかに踏み込む際に、実際に効果のでる施策を立案し、指示できるかどうか…という事だ。トップや幹部の「思いつき」や「たとえ話」をそのままやってしまうレベルのコミュニケーション状況は企業においていくらでもあるはずだ。具体的な部分に指示を踏み込ませるのであれば、上述の山本氏のような具体的な分析に基づく効果的な策を立案する必要がある。(内容についてはケースバイケースである事はお断りしておくが)一方、無責任に「思いつき」や「たとえ話」で具体策部分に中途半端に踏み込むと、部下とのコミュニケーションが成立していない状況では、そのままプランとして実行され、言った側も「そのままやれなんて言ってない」と言い、部下は「また始まったよ・・・無責任だな・・・」といった、どうやっても成果のでない状況が発生する。入り込むのなら喧々諤々の議論をして全員で信じるプランをつくるところまで昇華するべきだ。

経営において、ダイバーシティマネジメント(多様な人材を活かす)を実行する為には、インクルージョン(組織として一体的、且つ有機的な活動)まで高める必要がある。そこには年齢の分布や性別の分布だけでなく、積み上げ型の知識やキャリア、
ライフスタイル(生活様式)、ライフステージ(単身期、子育て期、介護期・・・・他)など当事者しかわからない事を含め、様々なエネルギーを有機的に生かせる形に導かなければならない。その為には「トップダウン」で部下にやらせるスタイルから、現場までしっかり入り込みつつ、具体的なサポートに入る「支援型マネジメント」スタイルへ転換しなければならない。トップダウンで全てがわかるほど簡単な時代ではなくなったからだ。

というわけで、やはりサッカーと企業経営はにているというヨーロッパの感覚に、共感しているセンダです。
今後コミュニケーションを高め、ますます発展する日本代表に期待し応援しています。
次戦も「頑張れ日本代表!」(^^ゞ