皆さんこんにちは。中小企業診断士の專田政樹です。
今日のテーマは企業内における仕事の仕方のギャップについてです。
2015年7月2日のWBSで紹介された中国での店舗の事例について
良いスパイラルを構築できた店と、そうでない店の格差が
あまりにわかりやすかったので紹介したいと思います。

 

■まずは悪い方の店。
※番組を見て記憶をたよりにしています。なるべく忠実に表現しようとしています。朝、日本人幹部によるミーティングが行われる。
「昨日は予算はいった?」「このままの状況に悔しさを率直に感じ、あたらしい事に挑戦していこう!」
その後売場へ(ワイン売場にて)
「ただワインだけがおいてあるつまらない売場になっている。
もっと生活シーンを踏まえ提案型の売場にしていかなければならない。
今、中国の市場はものすごいスピードで変化していて、それに対応できていない。

 

次は良い方の店。
店幹部は市場に対応する為事情に詳しい中国現地採用とし、積極的に提案型の店作りに取り組んでいる。
女性幹部と店を巡回すると、同様に今市場に変化のスピードはすごく早くついていくのが大変だと語る。
食品売場では、新たな提案型の試みが例として紹介された。
調理時間短縮型のメニューとしてチンジャオロースをパックで販売。
半分の肉が入り、一緒に炒める野菜はカット済で復数の種類が入っている。
他メニューでも同様に肉と野菜を同じパックにつめたものが並んでいる。
同社チェーンの中では日本も含め最大の売り上げの店舗になっているとの事。

 

■両者の比較
両者は共通して「中国の市場がものすごいスピードで変化している」事を認識している。
かたや、そのワイン売場にいちごポッキーが置いてある場面がうつされ、
全然あわないのでは?とのコメントをもらっている。
やれといわれて現場が無理やりやったのか?と勘ぐってしまうような状況。
かたや、肉と野菜をパッケージにしてメニュー提案をしている姿は日本より踏み込んでいる。
最近はメニュー提案が盛んに行われているのは国内でも同じだが、
多くの場合、店内の部門の壁を乗り越えるのに苦労している。
例えば「本日はバーベキューセット」という打ち出しをする時に、
肉売場は肉セットを作り、野菜売場は復数種類の野菜をカットしてパックする。
それを売場を合同で展開するといった感じだ。
バーベキューであればイベント毎なのでおそなくそのスタイルでお客様も満足していただけると思うが、
平日の夕飯だったらどうだろうか?
例)共働きで5時ギリギリで仕事を終え、これから急いで夕飯の支度をしなければならないお母さん。
メニュ-そのものが何かは季節によってもそれぞれだが、上述のようなパックがあったら?
家に帰って、フライパンでパッと炒めれば出来上がり。味付けはお好みでできる。
加工食品と違って添加物の心配もない。
あまり突っ込むところではないが、母親自身も出来合いのものを食べさせてる感覚から解放されるはず。
いつも色々な種類が揃っている事が認知されれば、お母さんはご飯のスイッチだけいれて出発すれば、
夕飯の準備はなんとかなるという価値を提供し、生活インフラの一部になる。
お客様にとって存在価値のあるお店になる。

 

■何故できないか?
店の中は商品供給(発注→物流→入荷)から加工、品出しまで1つのラインが形成されおり、
売り上げ、利益などあらゆるものが部門管理されている。
そのため隣接する事は可能だが、完全にくっつける事は難しい。
上記のチンジャオロースなら、パック単位での肉の原価、野菜の原価、包材、加工人件費・・・・
さまざまな要素を、分類してどっちの部門にいくら振り分ける?的な話がでてくる。
マネジメントをそもそも統合してしまえばいいのだが、店にいけばお分かりになるように、
肉、魚、野菜、惣菜などそれぞれ作業場、売場、は全て区画が分かれている。
要はこの事例の取組をしようとおもったら、アイデア商品をつくりのではなく、
仕事の仕方の仕組みをつくりかえないと難しいという話である。
同じチェーンにおいて、かたやここまでしっかり取組が出来て、
かたや業績を落とし復数の店を閉鎖し、
市場の変化に対応出来ていないからだとわかっていてもそれができない…
もちろん競合状況等が異なるのは無視できないが、両者の体質の違いは鮮明だ。

 

■実行するためには?
理念、ビジョン、方針のあと、それを幹部や従業員が具体的なアクションイメージに変換可能な
「キーワードとステイトメント」がなければ、
たまたま上手くいくチームと、そうでないチームに分かれてしまう。
多様な市場に対応する為に、それぞれにあった多様なスキル、経験を持った人材を配置する事。
そして個々が動けるレベルまで形式化(言語化)された「共通目的」と、
「貢献意欲」を持つ事ができる「コミュニケーション」がとれている事が成功の為に重要な要素となる。
いま業績好調のセブン-イレブンでは「近くて便利」というキーワードが採用されている。
自分達のアクションがの成否を考える時、
幹部から販売員までが、常に同じベクトルで考えながら動いていく…といった感じである。
例えば新商品開発の路線の分岐点に立った時、どちらが「近くて便利」なのかを考えれば、
自然と同じ「軸」で統合された形がととのってくる。
キーワードが「売り上げ拡大」で止まってしまうと、各々が個人の能力のみで戦う為、
同じ組織に属していてもアクションそのものがバラバラになるし、今回の事例ような格差が発生する。
コンセプトを共有した後、メンバーが「自律」して「能力を発揮」する形を構築することができれば、
経営的な成功に向かって組織は進んでいく…

 

■まとめ
お店というのは如何にして良いスパラルを作りあげるかが重要で、
その根源となる経営資源は「人」(幹部から現場まで全て)につきる。
多様な人材の意識を、ビジョンで統合し同じベクトルへ向かわせる。
そして個々が、自律し能力を発揮する。まさにダイバーシティマネジメントの向かうべき姿である。
W杯決勝進出を決めた「なでしこJAPAN」のように、
皆がお互いに活かし合うチームを作ってお客様の為に頑張れれば勝利は見えてくるはず(^^ゞ